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オシロスコープ縦軸や横軸(時間軸)などの調整


オシロスコープのすべて
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第4章
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オシロスコープのシステムと操作部

このセクションでは、アナログ・オシロスコープとデジタル・オシロスコープの基本的なシステムと操作について簡単に説明します。アナログ・オシロスコープとデジタル・オシロスコープでは、 一部の操作が異なります。また、ご使用のオシロスコープには、 ここで述べられていない操作があるかもしれません。

縦軸と横軸(時間軸)、トリガ

一般的に、オシロスコープは垂直システム、水平シス テム、トリガ・システムの 3つで構成されています。オシロスコープを使用する場合、その3つの基本設定を調節して入力信号を表示させます。

オシロスコープの前面パネルは、3つの主要操作部、縦軸(垂直軸)横軸(水平軸)トリガに分かれます. オシロスコープの機種と種類によっては、別の操作部があることもあり ます。

お使いのオシロスコープで1 つ1つの操作部を確認してください。:

  • 垂直軸: 信号の減衰または増幅。V/div(垂直軸)を調整し、信 号の振幅を設定します。
  • 水平軸: 時間軸。s/div(水平軸)を調整し、画面水平方向の 1目盛あたりの時間を設定します。
  • トリガ:オシロスコープのトリガ設定。トリガ・レベルを調整し、 繰返し信号を安定させるように、あるいは単発信号にトリガを かけるように設定します。

このセクションではこれら3つのシステムとそのコントロールについてみていきます。

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図20: オシロスコープの前面パネル操作部

縦軸(垂直軸)

垂直軸の調整は、波形の上下の位置やサイズを変更する場合に使用します。また、入力カップリングなどの設定にも使用されます。垂直軸で設定できる一般的な項目には以下のようなものがあります:

  • ポジション
  • カップリング: DC、AC、GND
  • 周波数帯域: 帯域制限、帯域拡張
  • 終端: 1MΩ、50Ω
  • オフセット
  • 反転: オン/オフ
  • 垂直軸レンジ : 固定ステップ 、可変

これらの操作の主要なところを以下で解説します。

ポジションと垂直軸感度

垂直軸ポジションは、画面上で波形を垂直方向に自由に動かすことができます。

垂直軸感度(通常はV/divと表記)の設定により、画面上の波形の上下方向の大きさを変えられます。5V/divに設定すると、画面の垂直方向に8等分されている1つ1つの目盛間の電圧値が5Vとなり、全体で40Vを表示することになります。0.5V/divに設定した場合は、画面全体で4Vを表示することになります。

画面に表示で きる最大電圧幅は、垂直軸の目盛数にV/divの値をかけた値となり ます。1:1、10:1どちらのプローブを使用するかも、スケール・ ファクタに影響します。

垂直軸感度(通常はV/divと表記)の設定により、画面上の波形の 上下方向の大きさを変えられます。 V/divの値をプローブの減衰比で割ると、 本当の値が得られます。通常、V/divの設定には、表示された信号を適当な数の目盛に分割 できるように、可変ゲインまたは微細ゲインの調整機能がついて います。この機能は、立上り時間を測定するときに使います。

入力カップリング

「カップリング」とは、信号が伝わるように、回路と回路を接続す る方法です。この場合の入力カップリングは、被測定回路とオシロスコープを接続する方法です。

入力カップリングは、DC、AC、 またはGND(グランド)に設定できます。DCカップリングでは、 すべての入力信号が表示されます。ACカップリングは、信号中の DC成分をブロックするので、信号は0Vを中心に表示されます。 図21に、この違いを示します。

ACカップリングは、全振幅(AC+ DC)がV/divの設定より大きすぎるときに使用すると便利です。

TEK-XYZ-Primer-C4-Figure21
図21: ACカップリングとDCカップリング

GND(グランド)に設定すると、入力信号は垂直軸回路から切り離され、画面上で0Vの位置がわかります。

オート・トリガ・モー ドで入力カップリングをGNDに設定すると、画面上に0Vを示す 水平線が現れます。DCからGNDに切替え、再度DCに戻すと、信 号のグランドに対する電圧レベルが簡単にわかります。

帯域制限

ほとんどのオシロスコープには、帯域幅を制限する回路が備わっています。帯域幅を制限すると、表示されている信号に乗ったノ イズを抑えて、きれいな信号を観測することができます。

帯域幅を制限するとノイズを抑えることができますが、同時に信号の高周波部分まで減衰させたり、除去したりすることになるので、注意が必要です。

帯域拡張

オシロスコープによってはDSP任意イコライゼーション・フィルタを搭載しているものもあり、オシロスコープのチャンネル応答を改善することができます。このフィルタにより、帯域を拡張し、オシロスコープのチャンネルの周波数応答をフラットにし、位相 リニアリティを改善し、チャンネル間のマッチングを改善することができます。さらに、立上り時間が高速になり、時間ドメインのステップ応答も改善できます。

横軸(時間軸)

オシロスコープの水平システムは、サンプル・レートやレコード長といった入力信号のアクイジション(取込)方式と緊密に関連 します。水平操作部では、横方向に波形の位置を移動したり、サ イズを変更したりするときに使用します。横軸(水平軸)操作部で設定する項目には、次のものがあります。

  • アクイジション
  • サンプル・レート
  • Position and Seconds per Division
  • 時間軸
  • ズーム/パン
  • サーチ
  • XY モード
  • Z Axis
  • XYZ モード
  • トリガ・ポジション
  • スケール
  • 波形の分離
  • レコード長
  • 分解能

これらの操作の主要なところを以下で解説します。

アクイジションの操作部

デジタル・オシロスコープでは、アクイジション・システムの処理方法を設定することができます。図22は、アクイジション・メニューの例を示しています。

これについては、お使いのデ ジタル・オシロスコープのアクイジション・メニューを見ながらお読みください。

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図22.: アクイジション・メニューの例

アクイジション・モード

アクイジション・モードでは、サンプル・ポイントからの波形ポイン ト生成方法を設定します。サンプル・ポイントとは、A/Dコンバー タ(ADC)から直接抽出したデジタル・データを指します。サン プル間隔とは、サンプル・ポイントとサンプル・ポイントとの間 の時間間隔を指します。

波形ポイントとは、メモリに保存されているデジタル・データで、このデータを使って波形を作成します。 波形ポイントと波形ポイントとの間の時間差を、波形インターバ ルと呼びます。

サンプル間隔と波形インターバルは、必ずしも同じであるとは限りません。つまり、あるモードでは1回の取込みで取込んだ複数の サンプル・ポイントがそのまま1つの波形ポイントとなりますが、 別のアクイジション・モードでは、1つの波形ポイントを作るのに 複数回のアクイジションで取込んだサンプル・ポイントを合成する場合もあります。

言い換えると、リアルタイム・サンプリング・ モードで取込んだ波形の場合、サンプル間隔=波形インターバル ですが、等価時間サンプリング・モードで取込んだ波形の場合、サン プル間隔>波形インターバルとなります。次に、各アクイジション・ モードについて説明します。

サンプル・モード: 最もシンプルなアクイジション・モードです。 取込んだサンプル・ポイントがそのまま波形ポイントとなります。

ピーク・ディテクト・モード: オシロスコープは、2つの波形イン ターバルの間に取込んだ複数のサンプル・ポイントから最大と 最小のサンプル・ポイントを保存し、この2ポイントを2つの波 形ポイントとして使用します。

ピーク・ディテクト・モードを 備えたデジタル・オシロスコープは、ゆっくりとした時間軸設 定(つまり、長い波形インターバル)の場合でもA/Dコンバー タは高速で動作していますので、波形ポイント間に発生する、 サンプル・モードでは決して取込めないような高速な信号の変 化でさえ捉えることができます(図23)。.

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図23: サンプル・レートは、時間軸の設定によって変化する。時間軸を遅く設定するとサンプル・レートも遅くなる。ピーク・ディテクト・モードを備えたデジタル・ オシロスコープの中には、掃引速度が遅くても速い変化を捉えられるものがある。

ピーク・ディテクト・ モードは、発生間隔が離れた、幅の狭いパルスを捉えるのに特 に有効です(図24を参照)

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図24: ピーク・ディテクト・モードでは、非常に短時間のトランジェント異常が捕 捉できる

ハイレゾ・モード: ピーク・ディテクト・モードと同様、時間 軸の設定によるサンプリング速度よりA/Dのサンプリング速度 の方が速くなる場合に、数多く取込んだ情報を有効に活用できる機能です。ハイレゾ・モードの場合、1つの波形インターバル の間に、複数のサンプル・ポイントを取込み、その平均値を1つ の波形ポイントとします。

低速信号では、ノイズを抑えて分解 能を上げることができます。ハイレゾ・モードがアベレージ・モー ドよりも優れている点は、単発取込でも使用できるということ です。

エンベロープ・モード : エンベロープ・モードはピーク・ディ テクト・モードに似ています。違いは、ピーク・ディテクト・モー ドが1回のアクイジションから最大・最小ペアを探し出すのに対 して、エンベロープ・モードでは、複数回のアクイジションから探します。

通常は、エンベロープ波形を構成す るには、1回1回の波形としてピーク・ディテクト波形を使用し ます。

アベレージ・モード : アベレージ・モードでは、サンプル・モー ドと同様に、波形インターバルごとに1つのサンプル・ポイント を保存しますが、連続するアクイジションで取込んだ波形ポイン ト値をそれぞれのポイントごとに平均し、最終的な表示波形を 求めます。

帯域を犠牲にすることなくノイズを抑えることがで きますが、繰返し信号でなければなりません。

波形データベース・モード:波形データベースから振幅、時間、 カウント数の三次元の配列を構築します。

アクイジション・モードの開始と停止

デジタル・オシロスコープの最大の特長は、波形を取込んで記憶 させ、その後観測できることです。

通常、前面パネルには、アク イジション・システムの開始と停止を設定するためのボタンがつ いていて、取込後ゆっくりと波形を解析することができます。

さらに、1回の波形取込終了後、あるいは1回のエンベロープやアベ レージの終了後に、自動的にデータの取込みを停止する機能も必 要です。

この機能は、単掃引またはシングル・シーケンスと呼ばれ、 通常このための操作部が、アクイジション操作部またはトリガ操 作部についています。

サンプリング

「サンプリング」とは、入力信号の瞬時値を個々の電気的な値に変 換し、保存、処理、表示するプロセスです。個々のサンプル・ポイン トの大きさは、信号のサンプルを取込んだ時点におけるその信号 の振幅に等しくなります。

サンプリングは、スナップショット写真を撮ることに似ています。 個々のスナップショットは、波形上のある時間における点に相当 します。これらのスナップショットが適当な時系列に配置され、 入力信号が再現されます。

デジタル・オシロスコープでは、縦軸を振幅、横軸を時間とした スクリーン上にサンプル・ポイントが連続して配置されます(図 25を参照)。

図25の入力波形は、スクリーン上で連続する点で表示されます。 点と点の間隔が広すぎて波形として認識するのが難しい場合は、補間という処理を行って点を結びます。

補間により、点を線また はベクトルで結ぶことができます。連続する入力信号を正確に表 示するための方法として、いくつかの補間法があります。

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図25: 等価時間補間サンプリング:サンプル・ポイント間を補間によって補い、連 続波形を作成する

サンプリングについて

デジタル・オシロスコープの中には、リアルタイム・サンプリン グと等価時間サンプリングという、異なるサンプリング手法を備 えているものがあります。この2種類のサンプリング手法を備えて いるオシロスコープでは、信号に応じてサンプリング方法を選択 できます。

低速信号では、この2つの手法の違いはありません。時間軸設定が高速になり、1回の取込みでは波形を構築するほどのポイントが得られない場合に等価時間サンプリングが有効となります。どちらのサンプリング方法もそれなりの利点があり、どのよ うな測定を行うかによって使い分けます。

最新のオシロスコープには、3種類の水平軸モードがあります。次々 と測定ポイントを移動し、変化の激しい波形を観測する場合はオー トマチック(Automatic)モード(デフォルトのモード)を選択 します。このモードでは、波形は高速な更新レートで表示されます。

正確な測定のために高速なリアルタイム・サンプル・レートが必要 な場合は、コンスタント・サンプル・レート(Constant Sample Rate)モードを選択します。最速のサンプル・レートが維持され、 最良のリアルタイム分解能が得られます。

もう1つのモードはマ ニュアル(Manual)モードであり、サンプル・レートとレコード 長を個別に直接設定することができます。

リアルタイム・サンプリング

「リアルタイム・サンプリング」は、オシロスコープの最高サンプル・ レートが信号の最高周波数に対し2倍以上ある場合に理想的な方法 です。

この場合、オシロスコープは1回の「掃引」で正確な波形を 構成するのに十分なサンプル・ポイントが得られます(図26を参 照)。デジタル・オシロスコープで、単発信号を捉えられるのは、 リアルタイム・サンプリングだけです。

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図 26: Advanced analysis and productivity software, such as MATLAB®, can be installed in Windows-based oscilloscopes to accomplish local signal analysis.

リアルタイム・サンプリングでは、高速の単発現象をデジタル化 するため、その信号以上に高速なサンプル・レートが必要となり ます(図27を参照).

単発現象は、1度しか発生しませんので、発 生した時間枠でサンプリングを行う必要があります。

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図27: リアルタイム・サンプリング.

サンプル・レートが遅すぎると、高周波成分が「抜け落ちて」低 い周波数に取って変わられ、スクリーン上でエイリアシングが発 生します(図28を参照) 。さらに、リアルタイム・サンプリング では、デジタル化した波形を保存するために高速メモリが必要と なるという問題もあります。

高周波成分を正確に表示するために 必要なサンプル・レートとレコード長の詳細については、「性能に 関する用語」のセクションの「サンプル・レートとレコード長」 の項を参照してください。

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図28: サンプリングが十分でないためにエイリアシングが発生した100MHzの正弦波

リアルタイム・サンプリング(補間機能付)のデジタル・オシロ スコープでは、信号から個々のサンプル・ポイントを取得し、表 示します。このとき、信号をドットで表示すると見にくい場合が あります。信号の高速変化部に数ポイントしかない場合は、特に 見にくくなります。

このような場合に、デジタル・オシロスコー プでは補間表示モードを使用して信号を見やすくできます。

簡単に言うと、補間とは「個々の点の間を結ぶ」ことであり、1回 の波形取込みで十分なサンプル数を取込めなかった場合でも、信 号を正確に表示できます。

リアルタイム・サンプリングで補間を 使用する場合、オシロスコープはリアルタイム・モードで1回の掃 引を行い、信号から数個のサンプル・ポイントを取得した後、補 間によってポイントとポイントの間を埋めます。補間とは、いく つかのサンプル・ポイントから波形を推定するための処理技法の1 つです。直線補間では、サンプル・ポイント間を直線で結びます。この方 法は、図29の方形波のような角張った波形を補間するときに限定 されます。

図29に示すように、サンプル・ポイント間を曲線で結ぶサイン補 間はもっと応用範囲が広くなります。サイン補間は、実際のサン プル・ポイントの間を埋めるポイントを計算する、数学的な処理 です。実際には、観測信号は純粋な方形波やパルスではなく、曲線的で不規則な信号であることがほとんどです。したがって、サン プル・レートがシステム帯域の3~5倍という用途では、サイン補 間が適しています。

サンプル・レートが遅すぎると、高周波成分が「抜け落ちて」低 い周波数に取って変わられ、スクリーン上でエイリアシングが発 生します(図28を参照)。さらに、リアルタイム・サンプリング では、デジタル化した波形を保存するために高速メモリが必要と なるという問題もあります。

高周波成分を正確に表示するために 必要なサンプル・レートとレコード長の詳細については、「性能に 関する用語」のセクションの「サンプル・レートとレコード長」 の項を参照してください。

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図 29: 直線補間とサイン補間

等価時間サンプリング

高周波信号を測定する場合、1回の掃引で十分なサンプルが収集で きない場合があります。等価時間サンプリングは、図30のように 信号を取込みます。オシロスコープのサンプル・レートの半分よ り高い周波数成分を持つ信号でも、正確に捕捉できます。

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図30: 高速の繰返し信号を捉えるのに、等価時間サンプリングを採用しているオシロスコープもある

等価時 間サンプリングは、自然のものであれ人工のものであれ、ほとん どの事象は反復性を持つという特長を利用しています。等価時間 サンプリングでは、繰返し信号に対し、1回ごとの繰返しから少し ずつ情報を捕捉し、その波形全体を構成します。

1列に並んだライ トが順次点灯していくように、波形がゆっくりと作成されます。 これにより、周波数成分がオシロスコープのサンプル・レートよ りもかなり高い信号でも、正確に捉えることができます。等価時間サンプリングは、ランダムとシーケンシャルの2種類に分 けられます。それぞれに利点があります。

  • 「ランダム等価時間サン プリング」では、トリガ・ポイントよりも前の入力信号を、ディ レイ・ラインを使わずに表示できます。
  • 「シーケンシャル等価時間 サンプリング」では、ランダム・サンプリングよりもはるかに高 い時間分解能と確度が得られます。

どちらの場合にも入 力信号は繰返し性の信号であることが必要です。

ランダム等価時間サンプリング

ランダム等価時間サンプリングは、図31に示したように、内部ク ロックは入力信号や信号トリガとは非同期に動作します。

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図31: ランダム等価時間サンプリングでは、サンプリング・クロックは入力信号、 トリガとは非同期に動作する

サンプ ルはトリガの発生を待たずランダムに取得され、その後に最も近 いトリガとの時間関係が記憶されます。サンプルは時間的に連続 して収集されますが、トリガの発生時間に対してはランダムの関 係となります。 この理由で、「ランダム」等価時間サンプリングと 呼ばれます。オシロスコープのスクリーンに表示されるとき、サン プル・ポイントは、記憶されたトリガとの時間関係に従って波形 を形作るように配置されます。

サンプルは時間的に連続して収集 されますが、トリガの発生時間に対してはランダムの関係となり ます。この理由で、「ランダム」等価時間サンプリングと呼ばれます。 オシロスコープのスクリーンに表示される場合、サンプル・ポイン トは波形に対してランダムのように表示されます。

このサンプリング法の利点は、トリガ・ポイントよりも前のサン プルを取得できるため、波形のトリガ・ポイント以前の部分表示 でき、外部のプリトリガ信号やディレイ・ラインが不要となります。サンプル・レートやディスプレイのタイム・ウインドウによっては、 ランダム・サンプリングにより個々のトリガ・イベントごとに2つ 以上のサンプルを捉えることもできますただし、掃引速度が速 くなるとアクイジション・ウィンドウが小さくなり、デジタイザ は一部のトリガでサンプルを取得できなくなります。

しかし、こ の領域は多くの場合、非常に正確な時間測定が要求される領域で あり、非常に高い時間分解能を持つシーケンシャル・サンプリン グが十分に生かされる領域でもあります。ランダム・サンプリン グでは、シーケンシャル・サンプリングほど帯域幅の制約を受け ません。

シーケンシャル等価時間サンプリング

シーケンシャル等価時間サンプリングでは、時間/divの設定や掃 引速度にかかわりなく、トリガごとに1つのサンプルが取得されま す(図32を参照)。

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図32:シーケンシャル等価時間サンプリングでは、認識されたトリガごとに遅延時 間を置いて1つのサンプルが取得される。この遅延時間はサイクルごとに増える

トリガが発生すると、明確に定義された非常 に短い遅延時間を置いてサンプルが取得されます。次のトリガが 発生すると、前回の遅延時間に波形インターバル分の非常に短い 時間(Δt)を加えた時間後、サンプルが取得されます。

アクイジ ションごとに「Δt」が追加され、時間ウィンドウがいっぱいにな るまでこのプロセスが繰返されます。オシロスコープのスクリーン に表示される時は、左から右に順番に実際の波形のように配置さ れます。

技術的には、非常に短い「Δt」を正確に生成するほうが、ランダム・ サンプリングで行われるようにトリガ・ポイントに対して相対的 な縦横の位置を正確に測定するよりも容易です。このような正確 な遅延時間の測定により、シーケンシャル・サンプリングでは、 ほかの方法では得られないほど高い時間分解能が得られるのです。

シーケンシャル・サンプリングでは、トリガ・レベルが検出され てからサンプルが取得されるので、トリガの発生した部分を表示 するためには信号にアナログ・ディレイ・ラインを入れる必要が あり、逆にこれによってオシロスコープの帯域が制限されてしま います。ただし、外部プリトリガを使用すれば帯域への影響はあ りません。

横軸(水平軸)ポジションと掃引時間

水平軸ポジションを設定することにより、画面上で波形を水平方 向に移動できます。1目盛あたりの秒数(通常はs/divで表します)を設定すると、波 形をスクリーンに描く速度を指定できます。この操作は、時間軸 または掃引速度の設定とも呼びます。

これは、スケール・ファク タの設定です。この値を1msに設定すると、水平方向の1目盛は 1msを表し、画面全体の幅は10目盛ですので合計で10msとな ります。s/divの値を変更すると、入力信号を画面上で引き伸ばし たり、縮めたりできます。

垂直方向のV/div目盛と同様に、水平方向のs/div目盛も時間量を 自由に設定できます。

時間軸の選択

オシロスコープには必ず「時間軸」があり、下記の遅延時間軸と 区別する意味でメイン時間軸と呼ばれています。このほかに、オ シロスコープには「遅延時間軸」を持つものがあります。

これは、 メイン時間軸の開始点からあらかじめ決められた時間だけ遅れた 点から開始する時間軸です。(あるいは、開始するようにトリガさ れます。)遅延時間軸掃引を行うと、イベントを明確に観察したり、 メイン時間軸では見えない部分を見たりできます。

遅延時間軸を使用するためには遅延時間の設定が必要で、そのほ か遅延トリガ・モードなどの、この入門書に記述されていない別 の設定が必要になることもあります。これらの機能の設定につい ては、ご使用のオシロスコープのマニュアルをお読みください。

ズーム/パン

アナログ・オシロスコープには、波形を水平方向に拡大するため の水平軸拡大機能があります。ズーム機能にパン機能が追加され ているオシロスコープもあります。ノブは、ズーム倍率やスケー ルの変更に、またズームする波形部分を囲むボックスの移動に使 用します。

サーチ

サーチ、マーク機能を装備しているオシロスコープもあり、ユー ザが定義したイベントをロング・メモリらかすばやく検索するこ とができます。

XYモード

ほとんどのアナログ・オシロスコープは、内部で発生させた時間 軸信号を水平軸として使いますが、代わりに、水平軸に観測する 信号の一方を入力して表示するためのXYモードを備えています。 XYモードでは、時間変化を観測する通常の測定と異なる、位相差 の測定ができます。これについては、「オシロスコープの測定テク ニック」のセクションの「位相差の測定」の項で説明します。

Z軸

DPO(デジタル・フォスファ・オシロスコープ)は高密度サンプ ル表示ができるので、輝度情報を表示することができます。DPO では、アナログ・オシロスコープと同様、リアルタイム3次元表示 を行えます。

DPOで波形トレースを見ると明るく輝く部分があり、 これは信号の発生頻度が高いことを示しています。

この表示方法により、めったに発生しない間欠現象と基本的な信号波形を見分 けることができます。基本信号は、明るく輝いて見えるからです。 Z軸を使うと、特別なタイミングを持った信号を別のZ軸に入力し て、波形上に指定した間隔で明るく輝く点(マーカ)を配置する こともできます。.

DPOのXYZモードとXYZレコード表示

DPOの中には、Z入力により輝度の濃淡をつけたXY表示が可能な ものがあります。この場合、DPOはZ軸に入力されるデータ値を 元に、波形上の特定の部分に輝度変調をかけることができます。

輝度変調をかけたサンプルを重ね描くと、輝度に濃淡をつけた XYZ表示が可能となります。

XYZモードは、コンスタレーション・ パターンなどの無線通信デバイスのテストによく使われる極パ ターンの表示に適しています。

XYZデータのもう1つの表示方式 がXYZレコード表示です。このモードでは、DPOデータベースか らではなく、アクイジション・メモリからのデータが使用されます。

トリガ・システムと操作部

オシロスコープのトリガ機能により、信号の望むポイントに水平 掃引の基準点を合せることができます。信号の観測には、この機 能は欠かせません。トリガにより繰返される波形を安定表示させ ることもでき、単発波形を捉えることもできます。

トリガは、入力信号の同じ部分を繰り返し表示することにより、 オシロスコープ上に安定した繰り返し波形を表示します。トリガ をかけないと信号上の異なった点で掃引が開始されるので、図33 のように静止できず、横方向にふらつくような表示になります。

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図33: トリガがかかっていない波形表示

エッジ・トリガは、アナログ、デジタル両方のオシロスコープで 使用できる基本的な機能で、最もよく使用されます。アナログ・ オシロスコープとデジタル・オシロスコープに備わっているスレッ ショルド・トリガ(設定電圧を横切るときに発生するトリガ)方 式に加え、多くのデジタル・オシロスコープにはアナログ・オシ ロスコープにはない、さまざまなトリガ機能が備わっています。

入力信号に対してより厳密に条件を指定し、本来の幅よりも狭い パルス波形であっても簡単に検出することができます。電圧によ るスレッショルド・トリガだけではこのような波形を検出するこ とはできません。

拡張トリガ機能を使用すると、入力信号から特別なイベントを取 り出して観測でき、オシロスコープのサンプル・レートやレコー ド長を最大限に活用できます。オシロスコープによっては、拡張 トリガ機能で非常に厳密に条件を指定できます。

パルスにトリガ をかけるとき、振幅を指定したり(ラント・パルスなど)、時間的 条件をつけたり(パルス幅、グリッチ、スルー・レート、セットアッ プ/ホールド、およびタイムアウト)、ロジック条件またはパターン 条件をつけたりしてトリガをかけることができます。

その他の拡張トリガを以下に示します。

パターン・ロック・トリガ: パターン・ロック・トリガはNRZシ リアル・パターン・トリガの新しい手法で、ロング・シリアル・テ スト・パターンの取込みをパターン長に同期させることにより、 優れた時間軸精度での取込みが可能になります。

パターン・ロッ ク・トリガでは、ロング・シリアル・データ・パターンのランダム ・ジッタを除去することができます。特定のビット・トランジ ションの影響を調べたり、マスク・テストでアベレージングを使 用することもできます。

シリアル・パターン・トリガ:シリアル・アーキテクチャのデバッ グで使用します。内蔵のクロック・リカバリとNRZシリアル・デー タ・ストリームのシリアル・パターンでトリガをかけることに より、物理レイヤとリンク・レイヤのイベントで相関関係をと ります。

オシロスコープでクロック信号を抽出し、トランジ ションを識別し、エンコード・ワードを設定してシリアル・パ ターン・トリガを設定します。

A & B トリガ: 従来のトリガ・システムでは、メイン・トリガ(A イベント)にだけしか複数のトリガ・タイプが選択できず、遅 延トリガ(Bイベント)ではエッジ・トリガしか選択できません でした。また、Bイベントが発生しない場合ではトリガ・シーケン スをリセットできませんでした。

最新のオシロスコープでは、A トリガ、Bトリガの両方でさまざまな拡張トリガが選択でき、他 チャンネルをロジック条件に加えることもできる機種もありま す。また、トリガ・リセットも装備されているので、指定した 時間、ステート、トランジションを経過した後に、トリガ・シー ケンスをリセットし再開することができます。これにより、極 めて複雑なイベントであっても取込むことが可能です。

サーチ/マーク・トリガ: ハードウェアによるトリガでは一度 に1つのイベントしか見ることはできませんが、サーチ/マーク・ トリガでは複数のイベントを同時に観測することができます。 例えば、複数のチャンネルのセットアップ/ホールド時間違反 を観測することができます。サーチしたイベントにマークを付 けることもでき、特定のイベントを簡単に表示することもでき ます。

トリガ補正: トリガとデータ・アクイジション・システムの信 号経路は異なっているため、トリガ・ポジションと取込んだデー タには時間遅延があります。これがスキューとジッタの原因と なります。

トリガ補正システムによりトリガ・ポジションを調 整し、トリガ経路とデータ・アクイジション経路の時間遅延を 補正します。これにより、トリガ・ポイントにおけるトリガ・ジッ タを仮想的に削除することかできます。このモードでは、トリ ガ・ジッタは100fsまで低減され、トリガ・ポイントは正確な測 定基準点となります。

特定の規格信号(I2C、CAN、LINなど)のシリアル・トリガ:オシロスコープによっては、 (テクトロニクスのオシロスコープを比較) CAN、LIN、I2C、SPIなどのシリ アル・データ規格の特定の信号にトリガできるものもあります。 最近のオシロスコープには、このような信号をデコードして表 示できるものもあります。.

パラレル・バス・トリガ: :一度に複数のパラレル・バスを定義し、 デコード表示させることができます。どのチャンネルがクロッ ク・ラインで、どのチャンネルがデータ・ラインかを指定する ことでパラレル・バスが定義でき、バスの中身を自動的にデコー ド表示します。

パラレル・バス・トリガによる波形取込みと解 析により、大幅な時間節約と効率アップが可能になります。

オシロスコープのなかには、コミュニケーション信号を観測する ための拡張トリガ機能を装備しているものもあります。代表的な トリガ・タイプの詳細を図34に示しています。直感的なユーザ・ インタフェースになっているため、トリガ・パラメータをすばやく、 かつ柔軟に設定できるため、生産性が向上します。

TEK-XYZ-Primer-C4-Figure34-800x502
図34: 代表的なトリガ・タイプ

トリガ・ポジション

水平トリガのポジション設定は、デジタル・オシロスコープだけ で提供される機能です。操作部は、通常はオシロスコープの水平 操作部にあります。これは、実際には波形レコードの水平トリガ・ ポジションを調整します。

水平トリガ・ポジションを変更すると、「プリトリガ」と呼ばれる トリガ・イベント前の信号を捉えることができます。つまり、水 平ポジションを変えることで、トリガ・ポイント前後の観測時間 を調整することができます。

デジタル・オシロスコープでは、連続的に入力信号を処理してい るため、トリガの有無にかかわらずプリトリガを観測できます。 データは常にオシロスコープの中を流れていて、トリガは単にそ のデータをメモリに保存するタイミングを指定しているだけです。

一方、アナログ・オシロスコープはトリガを受取ってはじめて信 号を表示するように動作します。したがって、アナログ・オシロ スコープには原則としてプリトリガ機能はありません。例外的に 垂直システムに加えられたディレイ・ラインにより、わずかなプ リトリガを観測することはできます。

プリトリガはトラブルシューティングで大いに役立ちます。問題 がときどき発生する場合はその問題でトリガし、その原因となる 波形を記録・解析することで問題を解決できる可能性があります。

トリガ・レベルとスロープ

トリガ・ポイント定義の基本となるのが、トリガ・レベルとスロー プです。この設定により、表示される波形が決まります(図35を 参照)。

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図35: 正のスロープ、負のスロープによるトリガ

このトリガ回路は、ちょうどコンパレータのように動作します。 コンパレータの一方の入力におけるスロープと電圧レベルを選択 します。もう一方のコンパレータの入力と一致すると、オシロス コープはトリガを発生します。

スロープ設定では、トリガ・ポイントを信号の立上りエッジまた は立下りエッジのどちらに設定するかを指定します。立上りエッ ジは正のスロープで、立下りエッジは負のスロープです。レベル 設定では、エッジ上のどの電圧レベルにトリガ・ポイントを設定 するかを決めます。

トリガ・ソース

オシロスコープでは、画面に表示されている信号に必ずしもトリ ガをかける必要はありません。以下のような表示しない信号でも トリガ・ソースとして使用できます。

  • すべての入力チャンネル
  • 入力チャンネルに入力された信号以外の外部ソース
  • 商用電源のライン信号
  • 1つまたは複数のチャンネルから演算により作られた信号

ほとんどの場合、表示中のチャンネルをトリガ対象とするのが普 通です。オシロスコープの中には、他の機器にトリガ信号を送れ るものもあります。

Tオシロスコープでは別のトリガ・ソースを使うことができますが、 それが必ず表示されているとは限らないため、チャンネル1のトリ ガでチャンネル2を表示することのないように注意する必要があり ます。

トリガ・モード

「トリガ・モード」では、波形を表示する場合の信号条件を設定し ます。一般的なトリガ・モードとしては、「ノーマル」と「オート」 があります。

  • ノーマル・モードでは、入力信号がトリガ・レベルに達したとき にのみ波形を取込み、そうでないときには、アナログ・オシロスコー プの場合には何も表示せず、デジタル・オシロスコープの場合には、 最後に取込んだ波形が表示されたままとなります。ノーマル・モー ドでは、最初、トリガ・レベルが適切に設定されていないと何も 表示されないため、判断しにくいことがあります。
  • オート・モードでは、トリガがなくても波形を取込みます。一定 時間何も信号がないと、オシロスコープの内部で自動的にトリガ 信号が発生します。これにより、信号振幅が小さくてトリガがか からない場合でも、波形が消えてしまうことはありません。

実際は、トリガの発生レートが低くても測定したい信号だけを表 示したい場合はノーマル・モードを、わずらわしい設定なしに観 測したい場合はオート・モードというように、両方のモードを使 い分けます。多くのオシロスコープには、シングル・トリガ、ビデオ信号への トリガ、トリガ・レベルの自動設定など、特別なモードが用意さ れています。

トリガ・カップリング

垂直軸システムでACカップリングとDCカップリングが選択でき るように、トリガ信号でもカップリングが指定できます。

ACカップリングとDCカップリングのほかに、高周波除去、低周 波除去、ノイズ除去などのトリガ・カップリングを備えたオシロ スコープもあります。このような機能は、トリガ信号からノイズ を除去して、間違ったトリガを防止するのに有効です。

トリガ・ホールドオフ

適切なポイントでトリガをかけることが難しい場合があります。 多くのオシロスコープには、このような場合に対処するための補 助機能が用意されています。

トリガ・ホールドオフとは、有効なトリガが発生した後、次の有 効なトリガが発生してもオシロスコープがトリガしないようにす る、トリガ禁止期間を指します。この機能を使用すると、複雑な 信号にトリガをかけることが可能になります。最初の有効なトリ ガ・ポイントを基準にして、手動でトリガ・ホールドオフ時間を 設定し、目的信号のひとかたまりの途中でトリガがかかってしま うことを禁止します。そして次の取込区間の直前で禁止を解き、 トリガがかかるようにします。

図36は、トリガ・ホールドオフを 使用してトリガをかけた例を示しています。

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図36: トリガ・ホールドオフ:ホールドオフ期間中は新しいトリガは認識されない

波形演算と波形測定の操作部

オシロスコープの中には、複数の波形を加算して新しい波形を作 成する機能が付いたものもあります。アナログ・オシロスコープ が信号を組み合わせるのに対し、デジタル・オシロスコープは数 学的に新しい波形を生成します。.

例えば、波形の引き算でも、ア ナログ・オシロスコープでは1つのチャンネルを反転した後、もう 1つのチャンネルと足し算します。デジタル・オシロスコープには 減算機能が備わっているため、減算を指定するだけです。図38は、 2つの異なった信号を合成して第3の波形を作成している様子を示 しています。

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図 38: 2つのチャンネルの加算

デジタル・オシロスコープでは内部プロセッサを使用して、乗算、 除算、積分、高速フーリエ変換など、さまざまな高度な数学的計 算が可能です。

このような信号処理機能により、被測定デバイス のフィクスチャ特性をディエンベデッドするためのフィルタ・ブロックを挿入したり、ロー・パス・フィルタなどの特定の周波数 応答のフィルタ・ブロックを実装することが可能になります。

処 理ブロックには柔軟性があり、任意フィルタとしても機能し、プ リエンファシス/ディエンファシスのシミュレーションとしても 使用することができます。

デジタル・タイミング解析とステート解析

ミックスド・シグナル・オシロスコープに装備されているデジタル・ チャンネルは、ロジック・アナライザと同様の機能を持っています。 デジタル信号の取込みは、主に2種類あります。

  • 一つはタイミング 解析であり、MSOのサンプル・レートにしたがって同一の時間間 隔でデジタル信号をサンプリングします。各サンプル・ポイント において信号の論理状態を保存し、信号のタイミング波形を表示 します。
  • もう一つの取込みがステート解析です。ステート解析では、 デジタル信号の論理状態が有効で、安定している時間を定義しま す。シンクロナス回路、クロック同期回路では一般的です。クロッ ク信号は信号状態が有効な時間を定義します。例えば、立上りエッ ジ同期のDフリップフロップの入力信号の安定時間は、クロックの 立上りエッジ付近になります。出力信号の安定時間は、Dフリップ フロップのクロックの立下りエッジ付近になります。同期回路の クロック周期は安定していない場合もあるため、ステート解析に よる取込みの時間間隔はタイミング解析のように一定ではありま せん。

ミックスド・シグナル・オシロスコープのデジタル・チャンネルは、 ロジック・アナライザのタイミング解析モードに似ています。

MSOは、ロジック・アナライザのステート解析表示のように、ク ロック信号に同期したバス表示またはイベント形式でタイミング 解析を表示するため、デバッグにおいて重要な情報を確認するこ とができます。

その他の操作部

ここまで、基本的な設定機能について説明しました。ご使用のオ シロスコープの中には、以下のような機能や操作部を備えた機種 もあります。

  • 自動パラメータ測定
  • 測定カーソル
  • 数値演算よびデータ入力用キーパッド
  • 印刷機能
  • オシロスコープをコンピュータ、または直接インターネットに 接続するためのインタフェース

その他の機能、操作方法については、お使いのオシロスコープの マニュアルをご参照ください。